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不動産売却時の契約不適合責任とは?売主が知っておきたい対策を紹介

不動産売却

山田 拓馬

筆者 山田 拓馬

不動産キャリア24年

不動産売買についての経験が豊富です。
様々なケースについて、お客様に寄り添った提案が出来るよう心掛けております。

不動産を売却する際、「契約不適合責任」という言葉を耳にしたことはありませんか。不動産の取引には、思わぬトラブルや責任が伴う場合があり、売主である私たちがどのような責任を負うのかしっかり理解しておくことが大切です。本記事では、契約不適合責任の基本から、売主が取るべき対策や注意点まで、分かりやすく丁寧に解説します。売却を考え始めた方も、ぜひ参考になさってください。

不動産を売却する際、売主が知っておくべき重要な責任の一つに「契約不適合責任」があります。これは、売却後に物件が契約内容と異なる場合に、売主が買主に対して負う責任を指します。2020年の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと変更されました。この改正により、売主の責任範囲が広がり、より明確な対応が求められるようになりました。

契約不適合責任とは何か?

契約不適合責任とは、売主が買主に引き渡した物件が、契約で定められた種類、品質、数量に適合していない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。具体的には、物件に隠れた欠陥や契約内容と異なる点があった場合、買主は売主に対して修補や代金の減額、契約解除、損害賠償などを請求することができます。この責任は、売主が欠陥を知らなかった場合でも問われる可能性があります。

2020年の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと変更されました。この改正の背景には、従来の瑕疵担保責任が「隠れた瑕疵」に限定されており、責任範囲が不明確であったことが挙げられます。新たな契約不適合責任では、契約内容に適合しているかどうかが問われるため、売主は物件の状態を正確に把握し、契約書に詳細を明記することが求められます。

この契約不適合責任は、不動産売却において売主に大きな影響を及ぼします。例えば、売却後に物件の欠陥が発覚した場合、買主から修補や代金減額、契約解除、損害賠償などの請求を受ける可能性があります。そのため、売主は物件の状態を正確に把握し、契約書に詳細を記載することで、トラブルを未然に防ぐことが重要です。

以下に、契約不適合責任に関する主なポイントを表にまとめました。

項目 内容
責任の範囲 契約内容に適合しない物件の種類、品質、数量
買主の請求権 修補、代金減額、契約解除、損害賠償
売主の対応 物件の正確な把握と契約書への詳細な記載

このように、契約不適合責任は不動産売却において重要な責任であり、売主は十分な注意と準備が必要です。

契約不適合責任の具体的な内容と買主の権利

不動産売却において、契約不適合責任は重要なポイントです。買主がどのような権利を持ち、どのように行使できるのかを理解することは、売主にとっても大切です。

まず、契約不適合責任における買主の主な請求権は以下の4つです。

請求権 内容
追完請求 契約内容に適合するよう修補や代替物の引渡しを求める権利です。
代金減額請求 不適合の程度に応じて代金の減額を求める権利です。
契約解除 不適合が重大な場合、契約自体を解除する権利です。
損害賠償請求 不適合によって生じた損害の賠償を求める権利です。

これらの権利を行使するためには、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知する必要があります。通知を怠ると、これらの権利を行使できなくなる可能性があります。ただし、売主が引渡し時に不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合は、この通知期間の制限は適用されません。

さらに、買主が権利を行使できる期間には消滅時効があります。具体的には、不適合を知った時から5年、または引渡しを受けた時から10年のいずれか早い方で権利が消滅します。したがって、買主はこれらの期間内に権利を行使する必要があります。

売主としては、これらの期間や条件を正確に理解し、適切な対応を心掛けることが重要です。契約不適合責任に関する知識を深め、トラブルを未然に防ぐための対策を講じましょう。

売主が契約不適合責任を回避・軽減するための対策

不動産を売却する際、契約不適合責任を適切に管理することは、売主にとって重要です。以下に、売主がこの責任を回避または軽減するための具体的な対策を紹介します。

1. 売買契約書に特約や容認事項を詳細に記載する

契約不適合責任は、売買契約書における特約や容認事項の記載によって、範囲や期間を調整することが可能です。例えば、契約不適合責任の期間を短縮したり、特定の設備に関する責任を免除する特約を設けることができます。これにより、売主の負担を軽減することが可能となります。

2. 住宅診断(インスペクション)の実施

物件の状態を正確に把握するために、専門家による住宅診断(インスペクション)を実施することが有効です。これにより、隠れた瑕疵を事前に発見し、必要な修繕を行うことで、契約不適合責任を問われるリスクを低減できます。

3. 既存住宅売買瑕疵保険への加入

既存住宅売買瑕疵保険に加入することで、売却後に瑕疵が発見された場合でも、保険による補償が受けられます。これにより、売主の経済的リスクを軽減することが可能です。

以下に、これらの対策をまとめた表を示します。

対策 内容 メリット
契約書への特約記載 契約不適合責任の範囲や期間を特約で調整 売主の責任範囲を明確化し、負担を軽減
住宅診断の実施 専門家による物件の詳細な検査 隠れた瑕疵の事前発見と修繕によるリスク低減
瑕疵保険への加入 既存住宅売買瑕疵保険への加入 売却後の瑕疵発見時の経済的リスクを補償

これらの対策を適切に講じることで、売主は契約不適合責任に関するリスクを効果的に管理し、安心して不動産取引を進めることができます。

契約不適合責任に関する注意点と売主の心構え

不動産を売却する際、契約不適合責任について正しく理解し、適切な対応を取ることが重要です。以下に、売主が注意すべきポイントと心構えを解説します。

まず、売主が知りながら告げなかった不具合については、免責特約があっても責任を免れることはできません。例えば、雨漏りやシロアリ被害など、売主が把握している欠陥を隠して売却した場合、後に買主から損害賠償請求を受ける可能性があります。

次に、契約不適合責任の通知期間や消滅時効について再確認することが重要です。買主は不具合を知った時から1年以内に売主へ通知する必要があります。また、買主が請求権があることを知ってから5年、もしくは権利行使が可能なときから10年経過した時点で、買主の権利は消滅します。ただし、1年以内に通知されていれば、時効までの期間は買主に請求権がある点に注意が必要です。そのため、売買契約に通知期間の定めを盛り込むことも、有効な策となります。

さらに、信頼できる不動産会社と連携し、適切な情報開示と契約内容の確認を行うことが重要です。不動産会社は、契約不適合責任に関する知識や経験が豊富であり、売主が見落としがちなポイントを指摘してくれます。また、契約書の作成や特約の設定など、専門的なサポートを受けることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

以下に、売主が注意すべきポイントを表にまとめました。

注意点 詳細 対策
不具合の告知義務 売主が知っている不具合は、免責特約があっても責任を免れない。 全ての不具合を正直に告知し、契約書に明記する。
通知期間と消滅時効 買主は不具合を知った時から1年以内に通知する必要があり、消滅時効は最長10年。 契約書に通知期間を明記し、売主の責任期間を明確にする。
不動産会社との連携 専門的な知識を持つ不動産会社と連携することで、トラブルを未然に防ぐ。 信頼できる不動産会社を選び、適切な情報開示と契約内容の確認を行う。

以上の点を踏まえ、売主として誠実な対応を心がけることで、契約不適合責任に関するトラブルを防ぎ、円滑な不動産取引を実現することができます。

まとめ

不動産売却を検討している方にとって、契約不適合責任は避けて通れない重要なテーマです。契約内容に不備があった場合、買主からさまざまな請求を受ける可能性があるため、事前の正確な物件把握や書面での丁寧な説明が欠かせません。また、売主にとっても、万が一のトラブルを防ぐために特約の明記や住宅診断の実施、さらには瑕疵保険の活用などを検討することが、安心安全な取引への第一歩となります。安心して不動産取引を進めるためにも、信頼できる不動産会社としっかり連携し、後悔のない準備を心がけましょう。

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執筆者紹介

山田 拓馬 (ヤマダ タクマ)

不動産事業部 部長 キャリア24年

保有資格

  • 宅地建物取引士
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 不動産終活士
  • ガーデンデザイナー 

不動産業界で20年以上のキャリアを積み、これまでに1,000件以上の売買、賃貸契約に携わる。分かりやすい説明、少しでもプラスになる提案、を常に心掛けている。また、近年問題視されている管理が劣悪な空き地・空き家、所有者不明不動産等の解決に少しでも貢献するべく、日々奮闘中。趣味はギター演奏、ガーデニング、観葉植物栽培、料理。

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