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相続不動産の売却は何から始めるべき?流れと必要な手順を解説

不動産売却

山田 拓馬

筆者 山田 拓馬

不動産キャリア24年

不動産売買についての経験が豊富です。
様々なケースについて、お客様に寄り添った提案が出来るよう心掛けております。

不動産を相続したものの、「どこから手をつければよいのか」「売却までの流れが分からない」と悩まれる方は多いものです。相続した不動産の売却は、通常の不動産売却とは異なる手続きや注意点が存在します。この記事では、初めて相続不動産の売却を検討されている方に向けて、確認すべき基本の流れから準備、契約、税金手続きまでを分かりやすくご案内いたします。迷わず進めるためのポイントも詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

相続不動産売却を始める前に知っておきたい基本プロセス

相続した不動産を売却するにあたり、まずは基本的な手続きを順序よく進めることが大切です。ここでは、初めて相続された方でも分かりやすいよう、必要なプロセスを丁寧にご説明します。

ステップ内容ポイント
1. 遺言書の有無確認・相続人の特定 遺言書があるか確認し、戸籍で相続人を確定します。 遺言がある場合は内容が優先。相続人漏れを防ぐため戸籍をしっかり調査。
2. 遺産分割協議と協議書作成 相続人全員で協議し、遺産分割協議書を作成します。 不動産は登記簿の記載どおりに詳細に記載し、全員の実印が必要。
3. 相続登記(名義変更) 法務局へ名義変更を申請し、所有者を相続人に移します。 令和6年4月から登記が義務化。期限内に手続きを。

まず、故人が遺言書を残していないかを確認し、あればそれに従った手続きを進めます。遺言がなければ、戸籍謄本などで相続人を確定し、遺産分割協議を行って全員が署名・押印した協議書を作成する必要があります。とくに不動産については登記簿どおり詳細に記載し、不備があると登記できないこともあるため注意が必要です。

次に、相続登記(名義変更)を法務局へ申請します。これは、相続された不動産を売却するために不可欠な手続きです。令和6(2024)年4月から義務化され、怠ると過料が科される可能性があるため、忘れずに進めましょう。

以上の流れを正しく踏むことで、後の売却がスムーズになります。初めての相続不動産の売却で戸惑われる方も多いかと思いますので、ご不明な点はいつでもご相談ください。

相続登記以降の売却準備ステップ

相続登記を終えたら、次は売却に向けた具体的な準備を進める段階に入ります。まず、不動産会社に売却価格の査定を依頼し、現実的な価格帯や売却可能性を把握しましょう。査定には、机上査定(資料のみ)と訪問査定(現地確認あり)があり、ご事情に合わせて選択することが大切です。複数社に査定を依頼し、査定額だけで判断せず、根拠や販売戦略の説明も確認しておくことが肝要です。査定結果を踏まえ、信頼できる不動産会社と「媒介契約」を結びます。この契約は「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の三種類があり、それぞれ広告範囲や報告義務の違いがありますので、ご自身の状況や希望にあわせて選びましょう。

媒介契約の種類特徴
一般媒介複数社に依頼可能、自己発見取引可、報告義務なし
専任媒介1社に依頼、自己発見取引可、2週間に1回の報告義務
専属専任媒介1社に依頼、自己発見取引不可、1週間に1回の報告義務

媒介契約を結んだ後は、売り出し準備に進みます。不動産会社が物件の写真撮影や紹介文の作成、インターネット掲載や店頭広告といった販促活動を行います。内覧の調整も同社が担いますので、売主としては内覧に備えて家屋や室内の清掃、荷物の整理・整頓を丁寧に行い、見学者に好印象を与えるよう努めましょう。

購入申込みがあった際は、不動産会社を通じて「購入申込書」が提出されます。この申込書には価格や支払い条件、引渡し時期などが明記されており、その内容を基に価格交渉や条件調整を行います。特に値下げ交渉には慎重に対応することが重要ですので、不動産会社とあらかじめ譲歩可能な範囲や最低売却価格を共有しておきましょう。売主と買主の条件が合意に至った段階で、売買契約締結へと進みます。

売買契約・引き渡し・決済手続きの進め方

相続した不動産を売却する際は、売買契約の締結から引き渡し、決済、そして所有権移転登記までの一連の流れを理解しておくことが大切です。まず、不動産会社を通じて重要事項説明を受け、売買契約を締結します。ここでは物件の権利関係や法的規制、設備状況などが詳しく説明され、売主・買主双方が納得したうえで契約書に署名・捺印します。手付金の受領やローン条項、違約金に関する条項などもこの段階で取り決められます 。

売買契約後は、引き渡しに向けた準備をすすめます。抵当権が設定されている場合には抵当権抹消登記が必要であり、住宅ローンを完済して金融機関から書類を取得するなどの対応が求められます。また、建物内の荷物整理や清掃、測量や解体、境界確認なども並行して行い、引き渡し当日にスムーズに移行できるように備えます 。

引き渡し・決済日には、司法書士や不動産会社の立会いのもと、買主による残代金の支払い、仲介手数料や登記費用の精算、鍵の引き渡し、所有権移転登記の申請といった手続きが進められます。所有権移転登記は司法書士に依頼するのが一般的で、抵当権抹消と合わせて申請されることが多いです 。

段階主な内容所要期間の目安
売買契約重要事項説明→契約書署名・捺印、手付金受領
引き渡し準備抵当権抹消・荷物整理・測量・清算1~2か月程度
決済・引き渡し残金受領、鍵・書類引き渡し、登記申請当日~数日

このように、売買契約の締結から引き渡し・決済、登記手続きまでは連続して手配し、特に抵当権抹消や測量、清掃・整理といった準備にも余裕を持って対応することが、円滑な売却の鍵となります。専門家によるサポートを活用しながら、慎重かつ確実に進めていきましょう。

売却後に必要な税務手続きと節税対策

相続した不動産を売却した後には、税務手続きが避けられません。特に譲渡所得税、印紙税などの主な税金の概要を把握し、確定申告のタイミングや所得計算、さらに取得費加算の特例など相続特有の節税制度を正しく活用することが重要です。

項目内容ポイント
譲渡所得税売却益に対して課税される税金譲渡価格から取得費や譲渡費用を差し引いて計算
確定申告の時期売却翌年の2月16日~3月15日に申告必要書類をそろえて期限内に申告
取得費加算特例支払った相続税の一部を取得費に加算相続開始から3年10か月以内に売却・申告が条件

まず、売却した不動産の利益に対して譲渡所得税が課税されます。譲渡所得の計算式は、「譲渡価格―(取得費+譲渡費用)-特別控除」です。取得費には、被相続人が購入したときの代金や手数料が含まれますが、不明な場合は譲渡価格の5%で計算され、税負担が重くなる可能性がありますので、購入時の書類を保存しておくことをおすすめします。こうした基本的な計算は、信頼できる情報をもとに構築されています。

確定申告は、不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までが申告期間です。この際、譲渡所得の内訳書・相続税申告書の写し・取得費加算用の計算明細書など、必要な書類を漏れなく添付することが求められます。

ここで注目すべきは「取得費加算の特例」です。相続開始日から3年10か月以内に売却し、かつ相続税を支払っている場合、支払った相続税の一部を取得費に加算し、譲渡所得を低く抑えることができます。取得費加算額は「相続税額×(譲渡資産の評価額÷相続財産の総評価額)」で計算されます。ただし、配偶者控除により相続税がかからなかった場合や、取得費加算の期限を超えた場合は適用できませんので注意が必要です。代償分割の場合には効果が減少する点も見逃せません。

まとめると、売却後は確定申告を正しく行い、取得費をできるだけ正確に把握すること、そして可能であれば取得費加算の特例を活用することで、税金負担を軽減できます。制度の要件や期限を理解し、計画的に手続きを進めることが安心な売却につながります。

まとめ

相続した不動産を売却する際には、遺言書の有無や相続人の確認から始まり、遺産分割協議や相続登記などの手続きを一つひとつ丁寧に進めることが重要です。その後、適切な査定と媒介契約を経て、売却活動や契約手続きを段階的に実施します。売却後の税務申告や節税策も忘れずに行うことで、安心して取引を終えることができます。初めての方でも流れを押さえておくことで、スムーズに売却を進めることができるため、ご不安な際は専門家までご相談ください。

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執筆者紹介

山田 拓馬 (ヤマダ タクマ)

不動産事業部 部長 キャリア24年

保有資格

  • 宅地建物取引士
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 不動産終活士
  • ガーデンデザイナー 

不動産業界で20年以上のキャリアを積み、これまでに1,000件以上の売買、賃貸契約に携わる。分かりやすい説明、少しでもプラスになる提案、を常に心掛けている。また、近年問題視されている管理が劣悪な空き地・空き家、所有者不明不動産等の解決に少しでも貢献するべく、日々奮闘中。趣味はギター演奏、ガーデニング、観葉植物栽培、料理。

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