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共有名義の不動産売却は何から始めるべき?流れや注意点も具体的に解説

不動産売却

山田 拓馬

筆者 山田 拓馬

不動産キャリア24年

不動産売買についての経験が豊富です。
様々なケースについて、お客様に寄り添った提案が出来るよう心掛けております。

不動産を相続した際、名義人が複数の場合、どのように売却を進めたらよいか悩んでいませんか。共有名義の不動産は、手続きが難しくなりがちで、全員の合意が必要となる場面も多く存在します。本記事では、共有名義の不動産を売却する際の全体の流れや、各ステップごとの注意点を分かりやすく解説します。スムーズに売却を進めたい方は、ぜひ最後までお読みください。

共有名義の不動産を売却するにあたっての基本的な権利関係と流れの全体像

まず、「共有名義」とは、土地や建物を複数の人が共同で所有している状態をいい、それぞれが共有持分という割合的な権利を持ち、登記簿にも記録されています。この状態では、共有者一人ひとりが自由に全体を売却できるわけではなく、共有持分に応じた行為が許されます。

具体的に、権利行使の範囲を整理すると次の通りです:保存行為(例えば修繕など)は単独で可能ですが、管理行為(短期賃貸やリフォームなど)は共有持分の過半数の同意が必要です。そして、処分行為(売却や抵当権設定など)は共有者全員の同意がないと実施できません。

相続人が複数いる状態で共有となった不動産では、遺産分割が十分に整理されていないと、売却意思がまとまらない、共有状態のまま固定資産税や管理費などの負担が発生するなど、注意すべき点が多くあります。このような場合には、まず共有者全員の持分割合を明確にしておくことが、円滑な売却検討には不可欠です。

行為の区分内容必要な同意
保存行為修繕、持分割合での使用単独で可能
管理行為短期賃貸借、リフォームなど持分の過半数の同意
処分(売却など)不動産全体の売却、抵当権設定など共有者全員の同意

共有者全員の同意を得て不動産全体を売却する流れ

共有名義の不動産を売却する際には、まず共有者全員で「売却方針」に関する話し合いを行うことが非常に重要です。売却価格や時期、仲介業者の選定、費用負担の分担などを明確にし、代表者や窓口役を決めておくことで手続きの混乱を防ぎます。共有名義の不動産では、売却を含む処分行為に共有者全員の同意が必要ですので、この話し合いの段階がスムーズな進行に直結します。

次に、書類の準備としては、共有者全員分の「実印」「印鑑証明書」「身分証明書」「住民票」、そして「登記識別情報(登記済権利証)」や「地積測量図」「境界確認書」などが必要です。これらの書類は、登記簿上の共有者を確定し、公的な手続きを円滑に進めるためにも欠かせません。

売却後、受け取った代金は各共有者の持分割合に応じて公平に分配されます。譲渡所得が生じた場合には、共有者各自が確定申告を行う必要があります;とくに自宅として使用していた場合、各自の持分について「三千万円控除」の適用が可能な場合がありますので、忘れず申告しましょう。

以下の表に、主なステップと注意点を整理しました:

ステップ内容注意点
話し合い価格・仲介業者・日程・費用分担・代表者決定合意内容は書面化しておく
書類準備共有者全員の印鑑証明・登記書類など相続登記が未了の場合は先行して登記手続きが必要
売却・分配売却代金を持分割合に応じて配分確定申告、控除の適用忘れに注意

自分の共有持分のみを売却する流れと注意点

相続人が複数いる場合、自分の共有持分だけを売却したいとお考えの方もいらっしゃるかと思います。その具体的な手順や留意点について、信頼できる情報に基づいて整理しました。

まず、持分のみを売却する際は次のような基本ステップとなります:査定の依頼、売買契約の締結、決済、所有権移転登記です。査定は共有持分に対応できる仲介業者や買取業者へ依頼することが一般的です。司法書士による登記申請支援を受けることが安心です。一般的な不動産売却の流れと同様ですが、共有という特性ゆえに慎重な対応が求められます。

次に、売却価格に関しては、市場価格に持分割合を掛けた理論額からさらに減額した金額での取引になることが通常です。一般的に共有持分の売却価格は「不動産全体の市場価値×持分割合×評価割合(30%~50%)」が相場とされています。この評価割合は、共有特有のリスクや流動性の低さを反映したものです。

売却先価格の目安メリット/注意点
他の共有者市場価格×持分割合理論上は高額。ただし、資金や合意形成が課題になることもあります。
買取業者市場価格×持分割合×30~50%スムーズに現金化できる反面、価格は割安です。
仲介業者(第三者)市場価格×持分割合×30~50%が一般的比較的高値も期待できますが、買主を見つけにくいリスクがあります。

買取業者を利用するメリットとしては、取引が速やかに進みやすく、面倒な交渉や時間的負担を軽減できる点が挙げられます。ただし、その代わりに共有状態やローン残債などのリスク分を価格に反映され、査定額は一般的に低くなります。

売却価格が市場価値の30~50%程度になる可能性があることは重要な注意点です。これは、共有持分を単独で取得しても自由に利用できない制約や、売却後に共有者との交渉が続く可能性があるなど、リスクが買主にとって大きいためです。

同意が得られない場合の法的手続きを含む代替手段の流れ

共有名義の不動産を売却したいが、他の共有者から同意が得られない場合には、ご自身だけで進めることができる「法的手続きによる共有状態の解消」が選択肢となります。ここでは、法的手続きの主な方法と、それらにかかる費用や時間、専門家への相談タイミングを整理いたします。

方法概要特徴・注意点
共有物分割請求(裁判) 裁判所に申立て、現物分割・代償分割・換価分割を求める 協議がまとまらない場合にも可能。時間と費用がかかりやすい
分筆による単独名義化(土地のみ) 土地を分筆して共有状態を解消し、それぞれ単独名義とする 測量や登記が必要。地形によっては資産価値が下がることも
専門家への相談 司法書士・弁護士への早期相談と手続き支援 手続きや書類の整備、裁判対策に強い味方となる

まず「共有物分割請求」とは、共有者同士の協議が難しいときに、裁判所へ申し立てをすることで共有状態を解消する手続きです。現物分割(実際に土地を分ける)、代償分割(誰かが不動産を取得し他の共有者へ金銭を払う)、換価分割(競売等で売却し代金を分配)のいずれかが選ばれます。裁判に至ると、解決までに半年以上かかるケースが多く、費用や時間の負担を覚悟する必要があります。

次に、土地の場合には「分筆」によって共有名義を解消する方法があります。測量士による測量や登記が必要となり、手間と費用がかかるほか、分割後の土地形状によっては資産価値が下がるリスクもあるため、慎重な検討が重要です。

こうした手続きをスムーズに進めるためには、司法書士や弁護士など専門家への早期相談が有効です。特に裁判手続きに不慣れな場合や共有者間の関係が複雑な場合、適切な書類準備や見通しの整理などをサポートしてもらうことで、トラブルの拡大を防ぎながら進められます。

まとめ

共有名義の不動産を売却するには、相続人が複数いる場合でも、まずは全員の権利や持分についてしっかり把握することが大切です。全員の同意があればスムーズに不動産全体を売却できますが、自分の持分のみを売却する場合や、同意が得られない場合には、手続きの流れや注意点が大きく異なります。売却価格や分配方法、必要な書類など、細かな準備や合意形成も欠かせません。法的手続きや専門家の力を借りる場面もあるため、ひとつひとつの流れを理解し、確実に進めることが重要です。

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執筆者紹介

山田 拓馬 (ヤマダ タクマ)

不動産事業部 部長 キャリア24年

保有資格

  • 宅地建物取引士
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 不動産終活士
  • ガーデンデザイナー 

不動産業界で20年以上のキャリアを積み、これまでに1,000件以上の売買、賃貸契約に携わる。分かりやすい説明、少しでもプラスになる提案、を常に心掛けている。また、近年問題視されている管理が劣悪な空き地・空き家、所有者不明不動産等の解決に少しでも貢献するべく、日々奮闘中。趣味はギター演奏、ガーデニング、観葉植物栽培、料理。

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