不動産を相続したときのよくあるトラブルとは?解決策も解説!
不動産の相続のトラブルと聞くと、資産を多く持っている裕福な家庭だけに起こる問題だと思っている方も多いでしょう。
しかし、けっして他人事ではなく一般家庭でもよくあるため、兄弟姉妹や親戚とトラブルにならないためにも事前の対策が必要になります。
この記事では、不動産を相続する予定のある方に向けて、不動産相続でトラブルになるケースや解決策について解説します。
不動産の相続で多いトラブルは相続人同士でおこる
両親が持ち家を持っていて、兄弟姉妹や親戚がいれば相続の問題は少なからずでてくるものです。
身近な不動産になるので、トラブルは増加していて人数が多いほどトラブルになる傾向になります。
被相続人と同居しているケース
両親がご健在の頃から同居していた場合、亡くなってからもそのままその家に住み続けたい方が多いです。
しかし他に財産を保有していないと、その家が対象になってしまいます。
さまざまな分割方法がありますが、他の相続人と分けなければなりません。
また両親と同居していた場合は介護や面倒を見ていた方と、一緒に住んでなくて何もしていない兄弟姉妹たちとでは貰う金額が同額なのは納得がいかないものです。
他の相続人が引き継ぐ予定の不動産の価値と同額の現金が用意できれば問題は解決ですが、実際に用意できる方は少ないでしょう。
皆が元気なうちにどうするのか話し合い、納得のいく遺言書を作成するのが望ましいです。
被相続人の子どもが多いケース
遺言書がなくても法定相続分で分割すれば大丈夫なのではと思っている方もいるでしょう。
しかし不動産は、現金や株式と違ってきれいに分割できるものではありませんし、人数が多くなれば簡単に分割することも難しいです。
親が亡くなったあとに、今まで知らなかった親が認知していた子どもや、離婚した配偶者の間にできた子どもがいて名乗りでてくるケースもあります。
せっかく遺産分割協議がまとまってきたのに、名乗りでてこられては白紙に戻ってしまいます。
再婚だったり、愛人の影がちらつくような怪しい場合は元気なうちに事実確認をして、後々トラブルにならないように遺言書の作成をしてもらうよう提案しましょう。
遺言書を作成してもトラブルが発生する
さまざまなトラブルを防ぐためにも、元気なうちに遺言書を作成してもらうのが最善です。
しかし、遺言書自体がトラブルに発展するケースもあります。
遺言書には3種類あります。
●自筆証書遺言は費用もかからず簡単に作成できる
●公正証書遺言は公証人が法律の定められた方法で作成
●秘密証書遺言は内容を秘密にしたまま存在だけを公証役場て認証してもらえる
この中でトラブルになりやすいのは自筆証書遺言です。
自分で作成するため簡単で費用がかかりませんが、遺言書の知識のないまま作成してしまうと場合によっては無効になってしまうケースがでてきます。
パソコンで作成してしまったり、遺言者の署名・捺印がなかったり、財産が明確でなかったりすると、遺言書に納得いかない方と争ったときに効力がないと判断されてしまいます。
作成するときは、形式など下調べをしっかりとして、個人の遺志を尊重して分割しましょう。
遺言書は法的に適正であるのが前提です。
そして封をする前に全員で確認し皆が納得する遺言書を作成します。
不動産の相続は平等にしようとするとトラブルになる
現金や株式などの金融資産は比較的スムーズに財産分与できますが、不動産のケースは現金のようにきれいに分割できず、公平に分けるのが難しいのが現状です。
分割方法にはいろいろありますので、引き継ぐ予定の遺産などによって使い分けましょう。
換価分割
もっともトラブルを回避できるのが換価分割です。
不動産を売却し、その売却金を相続人で分配する方法になりますが、思っていた金額で売れなかったなど、立地条件によってはなかなか売れないケースもでてきます。
さらに不動産を売却した時点で、高額な譲渡所得税や不動産会社に支払う仲介手数料が発生してくるので、実際に手元に残るのは思っていた金額より少なくなる場合もあります。
そして全員の合意形成が必要で1人でも反対すればおこなえません。
現物分割
現物分割は土地を分筆し、それぞれが保有する方法です。
しかし建物が建っていたら事実上困難なので、あくまで土地のみの場合に限ります。
4人の相続人がいたら土地を4等分しますが、平等に同じような形になるのであれば良いですが、広大な土地を持っていない限り難しいでしょう。
もし同じ形になったとしても、土地は方位や接道位置が違っていたら価値も平等ではなくなります。
できる物件のほうが稀で、どの区画を所有するのかでもめてしまい上手くまとまらないケースが多いです。
共有分割
共有分割は遺産分割協議で、なかなか決着がつかない場合に用いられます。
土地活用の際、どうするか所有者全員の同意が必要になり、意見がわかれたら有効に活用できません。
さらに、子どもや孫が増えれば加わってくるので人数が増え、共有者が膨大な人数になる場合もあり得ます。
そうなると所有者全員の同意が必要なときになかなか決まらず、どうにもできなくなってしまいます。
また固定資産税は共有している方全員で連帯して負担しなければならず、固定資産税の納付の時期になると共有名義人の代表に送付されるので、その方が自ら徴収しなければならず毎年大変です。
あまりおすすめできない分割方法です。
代償分割
代償分割は不動産を引き継いだ方が他の相続人に現金で支払う方法になります。
事業や農業などに活用していた不動産を引き継ぐケースや、被相続人と同居していて引き続きその家に住みたいといったケースに有効です。
現金でほしいといった方がいる場合にも有効ですが、そもそも現金を用意できるほどの資産を有していないと難しいのが現状です。
相続した不動産の名義変更ができていなかった
不動産登記の名義変更ができていないケースは実は多くあります。
名義変更は義務ではなく、さらに期限もないので放置されてしまっている可能性も大いにあります。
何世代も前のままだったりすると時間や手間がかかり厄介です。
遺産分割協議書を作成する
相続が発生すると、相続人同士でどのように分割するか遺産分割協議をします。
いざ遺産分割協議書を作成し、不動産関係の書類を取り寄せたら名義が何世代も前だったというケースもあります。
その時の被相続人の遺産分割協議書が見つかれば良いですが、なければ再度作成する必要があり、その後すべての方に遺産分割協議書に署名・捺印してもらわなければなりません。
その時の被相続人がまだ健在なら良いですが、亡くなっていたらその方の相続人に連絡取ってと、気が遠くなるような手続きが必要になっていきます。
なるべく両親が元気なうちに確認し手続きをしておいてもらうようにしましょう。
登記が変更されてなかった
不動産を相続する際は、法務局で相続登記をおこない、名義変更がされます。
昔は長子が受け継ぐケースが多かったので、とくに揉めるような事態にもならず書類も残っていないといったケースがありました。
さらに相続登記をしていなくても処罰などがなかったので放置されていました。
しかし、何世代も前のままだとその方の遺産分割協議書から確認していく必要があり大変です。
名義が両親の親のままになってるときは、両親に名義変更の手続きをしてもらうようにしましょう。
こういった事例が多いので、令和6年4月から相続登記は義務化されました。
まとめ
不動産の相続トラブルはけっして他人事ではなく、家を保有していれば起こりうる事態です。
両親が元気なうちに不動産の登記の確認をしてもらい、皆が納得のいく遺言書を作成しておくのがトラブルを未然に防ぐ方法になります。
こちらの記事を参考にトラブルのない遺産分割を進めましょう。