家などの遺産相続の手続きの流れとは?遺産相続で必要な情報を解説
家や土地などの不動産を相続する際、さまざまな手続きが必要となり、スムーズに進めていくには全体の流れや内容について知らなくてはいけません。
相続した不動産の分け方や、自分で手続きができるかどうかも知っておくのも、自分の状況に最適な方法を選びやすくなって便利です。
この記事では不動産を相続する際の手続きに関係する、さまざまな情報を解説していきます。
家を相続する手続きの流れ
家などの不動産を相続する際に必要な手続きの流れを知っておくと、必要な書類などを用意しやすくなります。
なかには用意するまでに時間がかかる書類もあり、早めに準備をしておかないと間に合わず、申請などが遅れてしまう可能性もあるため、注意しなくてはいけません。
遺産を引き継ぐ全体的な流れを把握するだけでなく、遺言状があるケースや注意すべきポイントを知っておきましょう。
家を相続する全体的な流れ
家を引き継ぐ際には、遺言書の確認を他のどの手続きよりも最初におこなわなくてはいけません。
遺言書の内容は最優先で実行しなくてはならず、遺言書がない場合は、遺産は法律で決められた範囲の遺族が引き継ぎます。
そして継ぐ財産がどのくらいあるのかを確認し、遺産分割協議で遺産をどうわけるかを決定します。
不動産を誰が引き継ぐか決まったら、不動産の名義を変更する相続登記をしなくてはいけません。
遺産の総額が基礎控除額を超過している場合は相続税がかかり、申告と納付をして完了となります。
遺言書が遺されている場合の流れ
遺言書があるなら、遺言書に記載されている流れに則って遺産の引き継ぎの手続きをしなくてはいけません。
遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言、そして秘密証書遺言の3種類があり、保管場所や検認の有無が異なります。
種類ごとに細かく決められていて、知らないと遺族にペナルティが課されるリスクもあるため、遺言書を遺すときには注意しましょう。
遺言書がないと法律に則って遺産分割協議をして、遺族がどうわけるかを決定します。
自分が遺産を引き継がせたい相手を指定するには、遺言書の種類も把握して正しい方法で遺言書を遺しましょう。
検認をせずに遺言書を開封するとどうなる?
自筆遺言書を遺言者が保管していたケースと、秘密証書遺言では遺言書の検認が必要です。
検認とは家庭裁判所で遺言書の状態と内容を確認する手続きで、検認しないまま開封してしまうと、5万円以下の過料を科されてしまいます。
もし開封してしまったとしても、遺言が無効になったり、財産を相続する権利がなくなったりする心配はありません。
しかし検認する前に開封しても検認そのものは実行しなくてはならず、開封してからでも検認をする必要があります。
相続した不動産の分け方
土地ではない、家などの不動産を相続した際の問題は、財産を引き継ぐ権利を持つ方同士で分割しにくいです。
物理的な分割ができない家は、どのような分け方をすればいいのか知っておかなければ、遺族間での話し合いもまとまりにくいでしょう。
不動産の分け方は3種類あり、種類ごとにメリットとデメリットがあるため、把握しておくと話し合いでどの分け方が適しているかわかりやすくなります。
現物分割とは
不動産を引き継ぐ権利を持つ方のなかで、一人がそのままの形で相続する方法が現物分割です。
建物が複数あるなら権利を持っている方が一人一つずつ引き継ぎ、不動産が1個なら一人がそのまま引き継ぎ、他の方は預貯金など別の資産を引き継ぎます。
シンプルな分け方でやり方もわかりやすく、スピーディーに引き継ぎを進められる点がメリットです。
デメリットとして、不動産とその他の財産で価値が違うと不公平になってしまい、複数の不動産でも評価額が違うとトラブルに発展する可能性があります。
代償分割
不動産を現物で取得した方が、他の権利を持つ方に対して金銭など代償金を支払う方法です。
他の遺族に支払う金額は、法律で決められた割合によって変化し、全員に同じ金額を払うわけではありません。
メリットは不満がでにくい点で、他の遺族が建物の取得を望んでいない場合は話し合いがまとまりやすくなります。
デメリットは、不動産を取得する方が支払い能力を持っていないと選べない方法である点です。
評価額によっては高額の代償金を支払う可能性もあり、事前にどのくらいの金額を支払わなければいけないのかを確認してから、選ぶようにしましょう。
換価分割
換価分割は不動産を売却して現金化してから、法律で定められた割合で遺族に分配します。
現金化して分割するため平等に分配が可能となり、引き継ぐ不動産に住む予定がないなら処分もできるなど、さまざまなメリットがある方法です。
しかし家に誰かが住んでいる状態では売却できず、売却に時間がかかってしまうなどの問題が起きる可能性もあります。
換価分割をするなら早い段階で不動産会社に依頼して、売却にかかる期間や価格について相談しておくと安心です。
不動産の相続は自分で可能なのか
家などの不動産を相続する手続きを自分で進めようとする方は多いものの、途中で挫折するケースは少なくありません。
手続きを途中でやめてしまうとかかった時間や費用が無駄になってしまうため、自分でやるかどうかは情報を集めてから判断しましょう。
自分で進めていいケースなのか、専門家に依頼すべきケースなのか判断を間違えると、時間と費用の浪費になってしまいます。
どうして自分で進めると難しいのかも知っておけば、判断基準が増えて便利です。
自分で相続手続きを始めていいケースとは
相続手続きを自分で始めていいケースとして、配偶者と子どもだけが財産を引き継ぐ、時間に余裕があるなどのケースがあります。
財産を引き継ぐ方が少ないなら準備すべき書類も少なく、役所に行く回数も減って効率的に進めやすいです。
また財産についての話し合いもしやすく、遺産の分け方でトラブルになりにくい点も、自分だけで進めやすいポイントです。
しかし戸籍謄本の取得が本籍地まで行かないとできないケースや、郵送請求をするなら返信用封筒などを準備しなくてはいけないなど、細かな手間はかかります。
どうして自分で進めるのは難しいのか
相続の手続きを自分で進めるのが難しい原因として、まず書類の多さがあります。
戸籍謄本をはじめとして、多くの書類が必要となるため書類を揃える段階で挫折してしまう方は多いです。
次に遺産分割協議書や登記申請書の作成など、法律の知識が必要になる書類もあるため、専門的な知識がない方には作成が難しくなってしまいます。
最後に、遺産を引き継ぐ権利を持つ方同士が疎遠であり、連絡が取りにくいと、遺産の分け方について話し合いがしにくく、手続きが難しくなる原因となります。
家などの不動産の場合は名義の変更についての手続きもあるため、自分で進めていくのは難しいでしょう。
専門家に任せるべきケース
遺産の引き継ぎについて専門家を頼るべきケースとして、相続登記を放置していた物件があったり、遠方の不動産を引き継ぐケースなどがあります。
複雑な手続きが必要になると、専門知識のない方では手に負えない場合が多く、どう進めるべきか判断できなくなってしまいます。
遺産を引き継ぐ人数が多いケースでも、準備するべき書類や手続きの量が膨大になってしまい、専門家に頼らないと時間がかかりすぎてしまうでしょう。
専門知識が必要になったり手続きの量が多くなったりするケースでは、専門家に頼るべきです。
まとめ
家などの不動産を相続する際には、手続きの流れを知っておくとスムーズに進められ、余計なトラブルも回避しやすくなります。
分割しにくい建物を相続人で分割するには、3種類ある方法のなかからメリットとデメリットを考慮し、最適な方法を選ぶといいでしょう。
自分で手続きを進めるのは難しく手間もかかるため、専門知識のある方に頼るとスムーズに進められて安心です。