相続物件の不動産売却における注意点とは?3つのポイントをご紹介

相続物件の不動産売却における注意点とは?3つのポイントをご紹介

相続した住宅に住む予定がないため、売却に回したいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
しかし、相続した物件を不動産売却で手放す場合は、さまざまな注意点を考慮する必要があります。
今回は、相続した物件を不動産売却する場合の名義や期限、媒介契約に関する注意点についてご紹介します。

相続物件の不動産売却における名義の注意点

相続物件の不動産売却における名義の注意点

相続した物件を不動産売却に回す場合の注意点のひとつは、物件の名義です。
不動産の名義が故人のままになっていると売却できないため、不動産売却の前に名義を自分に変更しておく必要があります。
不動産売却における名義の注意点について、詳しく見ていきましょう。

名義は自分に変更しておく

不動産売却をおこなう場合は、該当する物件の名義人が売主の方自身でないと売却できません。
そのため、相続した不動産の名義が故人のままになっていると、そのままでは不動産売却には回せないのです。
不動産を相続したら、まずは名義を変更して、自分の名前にしておく必要があります。
相続した不動産を自分の名義にするためには、相続登記と呼ばれる手続きが必要です。
相続登記では、法務局に不動産を相続したことを申請して、所有者の名義を変更してもらいます。
登録免許税などの費用がかかるほか、相続登記には期限もあるため、はやめに手続きを済ませましょう。

共有名義だと勝手に不動産売却はできない

相続した不動産が自分の単独名義の物件であれば、誰に断ることなく好きに売買できます。
しかし、ほかの親族の方などと共有名義になっている場合は、自由な売却はできません。
共有名義では、1人ひとりが共有持分と呼ばれる一定の範囲の権利を持っています。
共有者が単独で行使できる権利は限られており、物件全体の売却は共有者全員の合意が必要です。
共有名義の物件を売却するのは簡単ではなく、誰か1人でも共有者の方が反対していたら、それだけで売却はできません。
共有状態での相続が繰り返されている場合、誰が共有者に含まれているのか分からない可能性もあります。
共有状態を解消するための訴訟も請求できますが、自分の望む結果になるとは限らないのも注意点のひとつです。
一方で、自分の共有持分だけであれば自由に売却できます。
ただし、第三者に持分を売却すると、もともとの共有者に家賃を請求したり、不当な価格で持分を売買しようとしたりして、トラブルが起きる可能性も高いです。
売却した方が親族の方からの反感を買う場合もあるため、共有持分の売却は慎重に検討しましょう。

相続物件の不動産売却における売却期限の注意点

相続物件の不動産売却における売却期限の注意点

相続した物件を不動産売却で手放すと、さまざまな控除制度を利用できます。
しかし、これらの制度を利用するためには、売却したあと一定期間内に売却する必要があり、実質的な売却期限が存在するのです。
相続した不動産を売却する場合に利用できる制度や、期限に関する注意点について見ていきましょう。

相続したあとは3年以内に売却するのがおすすめ

相続した不動産を売却する場合は、相続税の申告期限から3年以内に売却するのがおすすめです。
相続物件を売却すると、相続税の取得費加算の特例を利用できます。
これは、相続税として支払った金額を不動産売却の取得費に加算でき、売却時の譲渡所得税を軽減できる制度です。
相続税の取得費加算の特例を利用するためには、不動産売却をおこなう方が相続や遺贈で物件を取得していること、相続税を支払っていることが条件となります。
そして、その物件を相続の開始日から相続税の申告期限以後3年以内に売却しなければなりません。
相続の開始日から相続税の申告期限までには10か月の期間があります。
したがって、相続の開始から3年10か月以内に売却すると、相続税の取得費加算の特例を利用できるのです。

相続空き家の3,000万円特別控除を利用できる

相続した物件を売却する場合、相続空き家の3,000万円特別控除を利用できます。
相続空き家の3,000万円特別控除を利用するためには、相続の開始のあった日から3年が経過する日が含まれている年の12月31日までに売却しなければなりません。
場合によっては、相続税の取得費加算の特例よりも期限が短くなるため注意が必要です。
相続空き家の3,000万円特別控除を利用するためには、その物件が故人の居住用に使用されていた物件でなければなりません。
また、昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建てであり、相続から売却までに誰も住んでいないこと、貸与もされていないことが条件です。
さらに、売却の時点で、家屋に現行の耐震基準が適用されていなければならず、耐震工事が必要になる場合もあります。
相続空き家以外にもマイホームを売却した場合には、3,000万円の特別控除が利用できますが、相続した物件にこれだけのために住んだと判断される場合は利用できません。

相続物件の不動産売却における媒介契約の注意点

相続物件の不動産売却における媒介契約の注意点

不動産売却では、不動産会社に売却の仲介を依頼して媒介契約を結ぶことが多いです。
媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つの種類があり、それぞれ特徴や注意点があります。
3つの媒介契約について、どのような注意点があるのか詳しく見ていきましょう。

一般媒介契約の特徴と注意点

一般媒介契約は、複数の不動産会社と媒介契約を結べるタイプの契約です。
一度に複数の不動産会社に売却活動をおこなってもらえるため、物件の認知度を上げられる可能性があります。
また、自分で買主を探すこともでき、契約している不動産会社の仲介なしに売買契約を結ぶことも可能です。
ただし、売却活動に力を入れても、ほかの不動産会社で成約される可能性があるとして、一般媒介契約では熱心に活動してくれない場合があります。
不動産会社が物件情報を参照するレインズに、売却中の物件を登録する義務もないため、あまり物件の情報が広がらない可能性が高いです。

専任媒介契約の特徴と注意点

専任媒介契約は、特定の1社とのみ媒介契約を結ぶタイプの契約です。
自分で買主を探して、不動産会社を通さずに契約することもでき、一般媒介契約よりも熱心な売却活動が期待できます。
レインズへの登録義務があるほか、2週間に1回は売却活動の進捗について報告するようになっているため、綿密な連絡が可能です。
一方で、専任媒介契約を結ぶと、その不動産会社からの囲い込みを受ける可能性があります。
囲い込みでは、レインズに登録された情報を見た別の不動産会社から買主の斡旋を受けても、契約している不動産会社が断ってしまうのです。
これにより、その不動産会社自身が買主を見つけるまで物件を売却できなくなり、売却活動が長期化する可能性があります。

専属専任媒介契約の特徴と注意点

専属専任媒介契約は、専任媒介契約よりも、さらに売主と不動産会社の結びつきを強めた契約です。
1社とのみ契約を結ぶため、囲い込みを受ける可能性は残るものの、報告頻度が1週間に1回になるため、より細かく売却活動の進捗を把握できます。
一方で、専属専任媒介契約における独自の注意点は、自力で買主を探すのが難しくなることです。
見つけてきた買主と契約するためには、媒介契約を結んでいる不動産会社に仲介を依頼する必要があり、必ず仲介手数料を支払わなくてはなりません。

まとめ

相続した不動産を売却する際は、名義人が誰になっているかを確認しなければなりません。
また、相続後に利用できる特例や控除には期限があるため、それまでに売却を済ませるのがおすすめです。
不動産会社と結ぶ媒介契約は、種類によって一長一短ですので、どの契約を選ぶかは慎重に検討しましょう。