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相続不動産の売却時に知りたい税金は?節税や特例制度もまとめて紹介

税金

山田 拓馬

筆者 山田 拓馬

不動産キャリア24年

不動産売買についての経験が豊富です。
様々なケースについて、お客様に寄り添った提案が出来るよう心掛けております。

不動産を相続し、売却を検討している方にとって、「どんな税金がかかるのか」「計算や手続きは難しいのか」といった不安を感じることはよくあります。特に相続した不動産を売却する際は、譲渡所得税や住民税など複数の税金が関係し、知識不足による思わぬ負担が発生することも珍しくありません。そこで本記事では、相続不動産の売却時に生じる税金の全体像や計算方法、利用できる節税策、売却前後の手続きまでを分かりやすく解説します。税金や手続きに自信がない方も、この内容をぜひ参考にしてください。

相続不動産を売却するときにかかる税金の全体像

相続によって取得した不動産を売却する際には、複数の税金が発生します。まず「譲渡所得にかかる税金」として、譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)が課されます。加えて、売買契約に伴う印紙税や登記に関わる登録免許税、相続登記そのものにも登録免許税が必要です。これらを整理すると、次のようになります。

税目課税される場面解説
譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税) 売却後の確定申告時 売却価格から取得費・譲渡費用・特別控除を差し引いた利益に課税されます。
印紙税 売買契約書を作成する際 契約書の金額に応じて定められた印紙を貼付する必要があります。
登録免許税(相続登記・所有権移転登記) 相続登記や所有権の名義変更時 土地・建物の評価額に応じた税率にて計算されます。

譲渡所得税は、売却後に確定申告で申告し納付します。印紙税は契約時、登録免許税は登記の申請を行う時点で必要です。特に、所有期間(被相続人の所有期間と相続後の所有期間を通算)によって税率が変わるため注意が必要です。たとえば、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」となり税率が低く抑えられます。スムーズな手続きを行い、適切なタイミングでの申告と納税を心がけましょう。

譲渡所得税・住民税の計算方法と税率の違い

相続不動産を売却する際、譲渡所得税および住民税は〈売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除〉で譲渡所得(譲渡益)を計算し、その金額に税率をかけて求めます。取得費には、被相続人の購入時の金額を引き継ぐのが原則ですが、購入価格が不明な場合は売却価格の5%を取得費とするルールがあり、この場合、税負担が大きくなることがあります。

次に、税率ですが、不動産の所有期間によって次のように区分されます。短期譲渡(売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下)は、税率が約39.63%(うち住民税9%)、長期譲渡(同日で5年を超える)は約20.315%(うち住民税5%)となっています。

所有期間税率(所得税+住民税+復興特別税)特徴
5年以下(短期譲渡)約39.63%税率が高く、負担増
5年超(長期譲渡)約20.315%税率が低く、有利
所有期間の判断基準売却年の1月1日時点で被相続人からの取得を含めて5年を超えるか

相続によって取得した不動産は、被相続人の取得日を引き継ぐため、短期間の保有でも長期譲渡に該当することもあり、税負担に大きな影響があります。

相続不動産売却で活用できる主な特例と節税制度

相続した不動産の売却では、税負担を軽減できる魅力ある特例が複数あります。ここでは代表的な制度をわかりやすく整理し、重複適用の注意点も含めてご説明します。

特例名 内容 併用可否
取得費加算の特例 相続税申告で納めた相続税の一部を取得費として譲渡所得に加算できる制度 空き家特例とは併用不可
空き家の3000万円特別控除 被相続人の居住用家屋(空き家)を売却する際、譲渡所得から最大3000万円控除(相続人3名以上の場合は1人あたり2000万円) 他特例との併用可(一部条件あり)
小規模宅地等の特例 相続税評価額を最大80%減額できる制度(居住用・事業用など) 空き家特例と併用可

まず、「取得費加算の特例」は、相続税申告時に納めた相続税の一部を譲渡所得の取得費に上乗せできる点で節税効果があります。ただし「空き家特例」との併用はできませんので、どちらの制度を利用した方が有利かを事前に見極める必要があります(取得費加算の特例および空き家特例の関係)。

次に、「空き家の3000万円特別控除」は、相続した被相続人の居住用家屋や敷地を一定の要件の下で売却した場合、譲渡所得から最大3000万円(相続人が3人以上であれば1人あたり2000万円)を控除できます。令和9年(2027年)12月31日までの適用期限があり、耐震適合または売却後に翌年2月15日までに耐震改修や解体を行う要件なども設けられています(空き家特例の要件と期限)。

さらに、「小規模宅地等の特例」は、相続税評価額を低減できる制度で、相続税の軽減に大きく貢献します。この制度は「空き家特例」と併用可能ですので、節税効果を高めるためには併用を検討する価値があります(小規模宅地等の特例との併用)。

これらの制度を複数検討する際には、適用要件や適用すべき特例の選択に注意が必要です。特に、併用不可の組み合わせや適用期限・控除額の制限など、知らずに使えず損をすることのないよう、税理士や司法書士など専門家にご相談いただくのがおすすめです。

売却前に押さえておきたい手続きと確定申告の流れ

相続した不動産を売却する前には、まず名義を変える「相続登記」が必要になります。これは、不動産の所有者である被相続人の名義から、相続人に変更する手続きです。2024年4月1日から義務化され、相続を知った日から三年以内に申請しなければ、過料が科される可能性がありますので注意が必要です。登録免許税は固定資産税評価額の0.4%で算出され、適切に申告すれば、不動産売却時の必要経費として計上できる場合があります。

手続き概要ポイント
相続登記所有者名義を相続人に変更3年以内。固定資産税評価額×0.4%の登録免許税
確定申告(譲渡所得)売却益が出た場合の申告売却翌年の2月16日~3月15日が申告期間
必要書類売買契約書、取得時の書類等領収書など証拠書類は整理を早めに

相続登記の申請には、戸籍謄本や固定資産税評価証明書、登記事項証明書などの書類をそろえ、法務局に提出します。司法書士に依頼すれば、申請書作成や書類取得の代行も可能で、負担を軽減できます。

不動産を売却すると、譲渡所得が発生すれば、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告が必要です。必要な書類には、売買契約書・購入時の契約書、譲渡費用の領収書、譲渡所得の内訳書などがあります。取得費や譲渡費用を証明するために領収書等を整理しておくことが重要です。万が一申告を忘れると、無申告加算税や延滞税といった罰則が発生します。

確定申告の流れは、書類を準備後、申告書・内訳書に記入し、税務署に郵送・持参、またはe‑Taxを使って提出します。所得税の納付は申告直後、住民税の納付は5月頃に納付書が送られてくるため、支払いスケジュールにも注意が必要です。

専門家への相談は、手続き漏れや書類の不備を防ぎ、特例の活用なども見落としなく行えるメリットがあります。相続登記や確定申告に慣れていない方は、税理士や司法書士に早めに相談されることをおすすめします。

まとめ

相続不動産を売却する際には、譲渡所得税や住民税、印紙税、登録免許税など複数の税金が発生します。それぞれの税金には課税されるタイミングや計算方法があり、特に所有期間による税率の違いは見落としがちです。また、取得費加算や空き家特例など、利用できる制度を知っておくことで税負担を大きく減らすことも可能です。しかし、特例の対象や条件には注意が必要です。売却の前後では必要な手続きや確定申告があるため、正しい流れを押さえ、専門家にも相談することが安心につながります。相続不動産の売却で迷われた際は、ぜひ一度ご相談ください。

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執筆者紹介

山田 拓馬 (ヤマダ タクマ)

不動産事業部 部長 キャリア24年

保有資格

  • 宅地建物取引士
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 不動産終活士
  • ガーデンデザイナー 

不動産業界で20年以上のキャリアを積み、これまでに1,000件以上の売買、賃貸契約に携わる。分かりやすい説明、少しでもプラスになる提案、を常に心掛けている。また、近年問題視されている管理が劣悪な空き地・空き家、所有者不明不動産等の解決に少しでも貢献するべく、日々奮闘中。趣味はギター演奏、ガーデニング、観葉植物栽培、料理。

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