空き家になった実家をどうする?50代が知るべき売却手続きと注意点の画像

空き家になった実家をどうする?50代が知るべき売却手続きと注意点

空き家問題

山田 拓馬

筆者 山田 拓馬

不動産キャリア24年

不動産売買についての経験が豊富です。
様々なケースについて、お客様に寄り添った提案が出来るよう心掛けております。

親が施設に入所してほっとしたのも束の間、実家が空き家になってしまい「このまま放置して大丈夫なのか」と不安を感じていませんか。
特に50代は仕事や自分の老後準備も重なるため、実家の売却や手続きにまで頭が回らないことも少なくありません。
しかし、空き家のままにしておくと、固定資産税や管理の負担、防犯・近隣トラブルなど、思わぬデメリットが積み重なっていきます。
そこで本記事では、「空き家となった実家をどうするか」を検討中の50代の方に向けて、売却を中心とした基本的な選択肢や注意点、具体的な手続きの流れをわかりやすく解説します。
親の介護費や将来の相続、兄弟姉妹との関係など、気になるポイントも順番に整理していきますので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

親が施設入所し実家が空き家に…まず考えること

親が介護施設や高齢者向け住宅へ入所すると、これまで親が暮らしていた実家が突然空き家になることがあります。
空き家を放置すると、老朽化による倒壊や庭木の越境、ごみの不法投棄などで近隣トラブルにつながるおそれがあると指摘されています。
さらに、管理不全な状態が続くと「特定空き家」とみなされ、固定資産税の優遇が外れて負担が大きくなる可能性もあります。
このため、親の入所が決まった段階で、空き家をどうするか早めに方向性を考えることが大切です。

まず押さえておきたいのは、「売る」「貸す」「残す」という大きく3つの選択肢があることです。
売る場合は、将来の維持管理費や固定資産税の負担から解放され、親の介護費や自分たちの資金に充てやすい点がメリットとされています。
貸す場合は、管理や修繕の手間が増える一方で、家賃収入により固定資産税などの支出を賄える可能性があります。
残す場合でも、自分や家族が将来住むのか、別荘的に使うのかなど、具体的な利用イメージと維持費の見通しを持つことが重要です。

また、実家の扱いは兄弟姉妹や親族の感情が絡みやすく、話し合いが後回しになると対立やトラブルに発展しやすいとされています。
相続人が複数いる場合、「売るか残すか」「誰がどのように管理するか」といった点を早めに共有しないと、費用負担や意思決定をめぐって揉める事例が少なくありません。
そのため、親の入所や介護の話が出た段階から、実家の今後についても併せて話し合い、合意内容をメモなどに残しておくと安心です。
次の表のように、家族間で検討すべき主な論点を整理しておくと、話し合いを進めやすくなります。

検討の観点 主な確認内容 話し合いのポイント
利用方針の整理 売却か賃貸か保存か 将来住む人の有無確認
費用負担の分担 固定資産税や修繕費 負担割合と支払方法
管理と手続き担当 管理者と連絡窓口 名義確認と権限整理

実家売却前に50代が整理すべき権利関係とお金の話

まずは、実家の名義が誰になっているかを確認することが重要です。
親が所有者のままで判断能力が低下している場合、成年後見制度の利用が必要になることがあります。
また、相続登記が済んでいない不動産は売却手続きが進められず、相続人が多くなるほど権利関係が複雑化しやすいと指摘されています。
こうした基本的な権利関係の整理を早めに行うことで、売却時の手続きや家族間のトラブルを防ぎやすくなります。

次に、実家を空き家のまま持ち続ける場合にかかる費用を具体的に把握しておくことが大切です。
代表的なものとして、毎年の固定資産税や都市計画税、建物の老朽化に伴う修繕費や管理費用が挙げられます。
老朽化が進んで解体が必要になると、解体費用に加えて更地となることで固定資産税の負担が増える可能性もあります。
一方で、売却した場合には譲渡所得税などの税金や、売却時に必要となる諸費用が発生するため、両者を比較して検討することが求められます。

さらに、将来の相続を見据えた資金計画として、相続時精算課税制度や生前贈与の活用を検討する場面もあります。
相続時精算課税制度を選択すると、一定額までの生前贈与について贈与税が非課税となり、相続時に精算して課税される仕組みです。
ただし、一度この制度を選ぶと原則として暦年課税に戻れないなどの注意点があり、将来の相続税負担や親の介護費用も含めて総合的に判断する必要があります。
こうした税制は要件や期限が細かく定められているため、最終的な判断は税務署や専門家への相談も踏まえて進めることが望ましいです。

確認すべき項目 主な内容 注意したい点
名義と権利関係 登記名義人と相続人 相続登記未了は売却困難
空き家の維持費 固定資産税と管理費用 長期保有で負担増加
税金と資金計画 譲渡所得税と贈与税 特例の要件と期限

空き家となった実家を売却するときの具体的な手続きの流れ

親が施設に入所して実家が空き家になった場合、まず取り掛かるのは家の中の家財整理と残置物の処分です。
売却の際には、不要な荷物を片付けて室内外の状態を分かりやすくしておくことが、後のトラブル防止にもつながります。
あわせて、敷地の境界標の有無や隣地との境界線を確認し、必要に応じて測量士による測量を行うことが望ましいとされています。
これらの準備を進めておくことで、買主候補に対して説明しやすくなり、売却手続き全体がスムーズになります。

次に、空き家となった実家をどの状態で売却するかを検討することが大切です。
老朽化が進んでいる場合は、建物をそのまま活かしてリフォーム前提で売るのか、解体して更地として売るのか、あるいは現状のまま引き渡すのかで、かかる費用と想定される売却価格が変わります。
一般的には、需要の見込みや建物の老朽度、耐震性、周辺環境などを総合的に判断し、解体費用やリフォーム費用とのバランスを比較して決めることが重要とされています。
この段階で、おおまかな売却価格のイメージと、準備にかけられる予算や時間を整理しておくと、その後の意思決定がしやすくなります。

売買契約がまとまった後は、契約から引き渡しまでに必要な書類を揃え、決済当日の流れを把握しておくことが求められます。
具体的には、登記識別情報、固定資産税納税通知書、身分証明書、実印と印鑑証明書など、所有権移転登記や精算に必要な書類を準備し、司法書士への委任手続きも行います。
決済当日は、金融機関などに売主・買主・司法書士が集まり、売買代金の振込確認、登記書類への署名押印、鍵の引き渡しといった手続きを進めるのが一般的です。
特に50代の方にとっては、印鑑証明書の有効期限や必要書類の抜け漏れが戸惑いやすい点のため、事前に一覧を作って確認しておくことが安心につながります。

段階 主な内容 50代の注意点
売却準備 家財整理・残置物処分 思い出品と処分品の整理
事前確認 境界確認・必要に応じ測量 隣地所有者との認識共有
売却方針 現状渡し・解体等の検討 費用と価格のバランス把握
契約・決済 契約書署名と登記手続き 必要書類の事前チェック

親の介護費・老後資金も見据えた空き家売却の注意点

空き家となった実家を長く放置すると、老朽化による倒壊リスクや景観悪化、防犯・防災面の問題などが指摘されています。
さらに、固定資産税や管理費用は住んでいなくても継続して発生するため、家計にも負担が残り続けます。
相続した空き家の売却については、一定の条件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があり、相続からおおむね3年以内といった期限が設けられています。
税制優遇の期限を逃さないよう、おおよその売却スケジュールを早めに立てておくことが重要です。

売却代金を親の介護費に充てる場合には、介護保険の自己負担や施設利用料など、継続的にかかる費用の見通しを立てる必要があります。
実家を生前に売却するか、相続後に売却するかによって、譲渡所得税の負担者や利用できる特例が変わるとされています。
また、売却代金をきょうだい間でどのように分けるのか、介護負担を多く担った人への配慮をどう位置付けるのかを、事前に話し合っておくことがトラブル防止につながります。
親の生活費と、自分自身の老後資金の双方を見据え、無理のない資金計画を立てることが大切です。

実家売却には、思い出が多いほど「本当に手放してよいのか」という迷いが生じやすいとされています。
しかし、感情の整理を理由に判断を先送りすると、建物の老朽化や税制優遇の期限切れにより、経済的な負担が大きくなる可能性があります。
写真やアルバムの整理、親との思い出の振り返りなどを通じて心の区切りをつける一方で、専門家への相談も交えながら客観的に選択肢を検討する姿勢が大切です。
「今後の暮らしを安定させるための実家じまい」という視点を持つことで、後悔の少ない決断につなげやすくなります。

項目 押さえたいポイント 見直しのタイミング
売却スケジュール 税制優遇の期限確認 施設入所直後
資金計画 介護費と老後資金試算 売却前の相談時
家族間の合意 分配方法と役割整理 売却方針決定前
感情面の整理 思い出の保管方法検討 家財整理の前後

まとめ

親が施設入所して実家が空き家になると、固定資産税や管理の負担、老朽化などデメリットが増えていきます。
早い段階で「売る・貸す・残す」の方針を家族で話し合い、名義や成年後見制度の有無など権利関係を整理しましょう。
売却の際は、家財整理や境界確認、測量など準備を進めつつ、リフォームや解体をするかも含めて総費用と手取り額を比較することが大切です。
売却代金の使い道は、親の介護費と自分の老後資金の両方を見据え、感情面も含めて後悔のない「実家じまい」を目指しましょう。

お問い合わせはこちら

執筆者紹介

山田 拓馬 (ヤマダ タクマ)

不動産事業部 部長 キャリア24年

保有資格

  • 宅地建物取引士
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 不動産終活士
  • ガーデンデザイナー 

不動産業界で20年以上のキャリアを積み、これまでに1,000件以上の売買、賃貸契約に携わる。分かりやすい説明、少しでもプラスになる提案、を常に心掛けている。また、近年問題視されている管理が劣悪な空き地・空き家、所有者不明不動産等の解決に少しでも貢献するべく、日々奮闘中。趣味はギター演奏、ガーデニング、観葉植物栽培、料理。

代表者の写真

”空き家問題”おすすめ記事

  • 空き家の片付けどうするべき?業者の選び方や依頼手順もご紹介の画像

    空き家の片付けどうするべき?業者の選び方や依頼手順もご紹介

    空き家問題

  • 空き家を放置するとどんなリスクがある?放置による損害や対策も紹介の画像

    空き家を放置するとどんなリスクがある?放置による損害や対策も紹介

    空き家問題

  • 空き家の解体費用はいくらかかる?相場と注意点をわかりやすく解説の画像

    空き家の解体費用はいくらかかる?相場と注意点をわかりやすく解説

    空き家問題

  • 空き家の相続後に売却する流れは?失敗しない進め方と注意点をご紹介の画像

    空き家の相続後に売却する流れは?失敗しない進め方と注意点をご紹介

    空き家問題

  • 特定空家の認定基準とは?所有者が知るべき対策も紹介の画像

    特定空家の認定基準とは?所有者が知るべき対策も紹介

    空き家問題

  • 古家の売却方法は何がある?注意点や流れも紹介の画像

    古家の売却方法は何がある?注意点や流れも紹介

    空き家問題

もっと見る